不動産相続の抱える課題とは?
もめない相続で、次の世代へ幸せをつなぐ
株式会社K-コンサルティング 代表取締役 大澤健司

相続のトラブルをなくしたい

遺産分割事件の新受件数推移 最高裁判所「司法統計年報(家事事件編)」

家庭裁判所における「遺産の分割に関する処分など」の家事審判・調停事件新受件数
出典:最高裁判所「司法統計年報(家事事件編)」

私は、2016年に独立して現在の会社を立ち上げ、 不動産コンサルティング、特に相続分野を強みにしたコンサルティングを行っています。
以前は不動産会社に勤めていましたが、仕事を通じてお客様の中に「相続」で困っている方が多くいることを知り、実は困っている方々を助けることができるのは、私たちのような不動産に精通した者なのだということを強く感じました。

相続の相談には、"地元をよく知り、相続知識のある不動産のプロ"が関わるべきだということが一般の方の常識となり、相続と不動産のプロたちが珍しい存在でなくなったときに、相続のトラブルはなくなると信じ、お客様の不動産資産を活かし、次の世代へと『幸せを絆(つな)ぐ』ことをモットーにして日々活動しています。

1 相続のトラブルは増えている

相続とは、人が亡くなったときに、故人の遺産を一定の血縁関係にある人が引き継ぐことを言います。
日本では今、年間に130万人近くの方が亡くなっています。この数は高齢人口の増加で毎年増加を続けており、これと同時に増え続けているのが、相続のトラブル件数です。

裁判沙汰になっているものだけを見ても、年間に15,000件以上の相続トラブルが発生しています。
裁判にまでもつれこんでしまったら、もはや「相続」は「争族」です。家族の絆は失われ、憎しみしか残らないというようなこともあるでしょう。家族の資産を引き継ぐ相続でトラブルになるのは、非常に悲しいことです。

2 なぜトラブルになってしまうのか

なぜトラブルになってしまうのか、そこには大きくふたつの課題があると考えています。
ひとつは、一般の方々の間の「自分には関係ない」という誤解の存在。もうひとつは、一般の方が相続について相談できる先がないという事実です。

まず、「自分には関係ない」という誤解についてですが、皆さんは自分の家では相続でトラブルになることはないと言い切れますか?
相続について何かしらの準備をしているでしょうか?
相続に関するアンケート調査を見ると、相続に対する意識の低い現状がみて取れます。

Q.相続に際し、もめ事は起こらないと思いますか?

  • 起こらないと思う・・・34.4%
  • 恐らく起こらないと思う・・・48.1%
  • 恐らく起こると思う・・・13.3%
  • 起こると思う・・・4.2%

Q.何か相続対策はしていますか?

  • 何もしていない・・・81.0%
  • 生命保険への加入・・・7.5%
  • 遺言書・・・7.3%
  • 生前贈与・・・3.1%

Q.相続対策をしていない理由は何ですか?
(前の問いで「何もしていない」と回答した方)

  • 対策するほどの資産がないから・・・52.4%
  • 時期尚早だと思うから・・・36.4%
  • 対策の取り方がわからないから・・・10.0%

調査名:「相続に関する意識調査」
調査方法:ハイアス・アンド・カンパニー株式会社の運営サイト上でのアンケートにて選択式で回答を得た。
調査期間:2014(平成26)年2月8日~16日
有効回答数:2,058名 (被相続人 n=546、相続人 n=1,512)
(被相続人:20代 1.3%、30代 3.3%、40代 11.4%、50代 28.6%、60代以上 55.5%)
(相続人:20代 6.9%、30代 19.2%、40代 31.3%、50代 30.3%、60代以上 12.2%)

相続トラブルは自分には無縁と思っている方がおよそ8割と、楽観視している方が多いことがわかります。
相続対策についても「何もしていない」という方が、8割以上と圧倒的。対策をしていない理由は、「対策をするほどの資産がないから」が半数以上となっています。

しかし、実情は異なります。

司法統計年報によると、遺産分割事件の3/4以上は5,000万円以下の資産額をめぐって争われています。
「うちはそんなに資産家じゃないから大丈夫だ」「相続トラブルなんて資産家の話でしょう」という方が多くいますが、 そういう方ほど要注意なのです。
相続トラブルは、財産の多い少ないとは関係ないのです。
むしろ財産額がそれほど多くない方のほうがトラブルになりやすい傾向にあると思っています。
それはどうしてでしょうか。

そこでもうひとつの課題、一般の方が相続について相談できる先がないという事実についてです。 再び前出のアンケートからです。

Q.相続相談は誰にしていますか
(しようとしていますか)?

  • 誰に相談したらよいかわからない・・・48.9%
  • 血縁者・・・15.0%
  • 弁護士・・・11.4%
  • 司法書士・・・7.7%
  • 税理士・・・7.5%
  • 銀行・・・5.3%
  • 不動産会社・・・3.8%

相続相談を誰にしているか(しようとしているか)を聞いたところ、「誰に相談したらよいかわからない」が約半数で最も多く、その次が「血縁者」です。合わせて約64%は専門家に相談しないということになります。
相続対策は決して簡単ではありません。法律や税制、金融や不動産の知識が必要になります。
また当事者同士だけでの話し合いは、感情のもつれから無用なトラブルとなることもあるので、専門的な知識を持った第三者が関わることは有効だと思います。
ある程度の資産を持っている方であれば、税理士や司法書士へアクセスすることができるのかもしれませんが、そうでない方にとっては敷居が高いのが実際のところだと思います。

これから団塊の世代が資産を受け継ぎ、さらに引き継いでいく大相続時代を控えて、一般の方々の「自分には関係ない」という意識と、誰に相談すればいいのかわからないという状態、またその相談の受け皿となる社会的基盤が整備されていないという状況を改善しなければ、トラブルはますます増えていってしまうと思います。

3 不動産業の私が相続問題に直面した経験

冒頭に書いたように、私はもともと不動産会社に勤めていました。
そこで賃貸部門の責任者をしていたのですが、ある時、「相続」の問題に直面する出来事がありました。
自社で長らく管理を任されていたアパートのオーナーさんが亡くなって相続が起きたことをきっかけに、アパートを引き継いで何も知らない娘さんが、税理士に相談のうえ、アパートを他社で売却してしまったのです。
これは、不動産会社の担当としては大失態でした。
自社の大きな管理物件が他にわたってしまったこともそうですが、よりによって売却をした会社が当時のライバル会社だったのです。
その娘さんに悪気は全くありません。
そのオーナーさんは多くの資産をお持ちだったようなのですが、アパートやその他の資産の相続について、生前に対策は特にしておらず、何の準備もない状態でアパートを引き継いだ娘さんは、税理士に相談し、勧められるままに売却を決めたそうです。

もし、前もってオーナーさんが自分のところに相談に来てくれていたら、たとえ結果的に売却をすることになったとしても自社で売却をしてくれたはず。
それに、本当に売却することが正しい選択だったのかどうか、不動産の扱いについてなら不動産会社のほうが慣れていたはずとも思いました。
また、逆転の発想で、もし他に同じような状況のオーナーさんがいるのであれば、自身が相続の相談に乗ってあげることで、新たに自社で不動産の取引に関わる機会も得られるのではないかと思いました。

とはいえ、私はそのオーナーさんの他の資産状況を知っていたわけでもなく、相続についての知識を持っていたわけでもありませんでした。
この経験をきっかけに、私は相続について勉強を始めました。

4 もめる相続 もめない相続 カギとなるのは不動産

世帯主年齢階級別の家計資産額とその内訳 出所:平成26年全国消費実態調査(総務省統計局)

世帯主年齢階級別の家計資産額とその内訳
出所:平成26年全国消費実態調査(総務省統計局)

相続について学び、多くの人と関わるにつれ、相続の相談には、"地元をよく知り、相続知識のある不動産のプロ"が関わるべきだという思いが強くなりました。

それには大きく三つの理由があります。
ひとつは、相続の対象となる資産の7割は不動産資産であるということです。
日本人の家計資産の内訳を見ると、金融資産が2割に満たないのに対して、住宅・不動産資産はおよそ7割。
日本の資産家の多くは不動産資産家なのです。
資産を引き継ぐ相続となると、自宅や貸地、賃貸マンション、農地など不動産資産をどうするか、という問題は避けては通れないのです。

ふたつ目は、不動産の扱いには専門的な知識が不可欠であるということです。
不動産は現金と違い、分けにくく、わかりにくいという特徴があります。
現金であれば適当な配分に応じて金額を合わせれば分けるのは簡単ですが、例えば田舎の自宅をばらばらに住む兄弟3人で分けるとしたらどうすればよいでしょうか。物理的に3等分できるでしょうか?金額で持ち分を分けますか?また、移動できないので、比較的近くに住んでいる長男はいいかもしれませんが、海外赴任している次男はもらってもどうしようもない、ということもあるかもしれません。
評価も難しいです。
その不動産がいまどれくらいの価値があるのか。相続をするとしたらどのように評価されるのか。
例えば土地としての評価は高いが、家を建てるのは不向き・・・など、不動産の価値はその相続上の評価と一致しないこともよくあります。
不動産をきちんと評価して、どうすべきかのアドバイスをするには、不動産の専門的な知識が不可欠なのです。

そして三つ目は、他の相談先は不動産の扱いに強いわけではないということです。
例えば、税理士は相続税の納税業務の知識を持っています。遺産分割協議や紛争となったときには、弁護士や司法書士など法曹関係者が力になってくれます。
銀行などの金融機関は金融資産の管理を業務としてやっています。
しかし、どの専門家も、実は主たる業務としているのは相続発生後のことです。
相続で大事な事前の準備、とりわけ不動産の扱いについて詳しく、アドバイスできる人はなかなかいないのです。

私は、不動産会社が相続の相談に乗るということの認知をまずは広げなければいけないと思い、自社で付き合いのあったオーナーさんを集めて「相続勉強会」の開催を始めました。
この「相続勉強会」は今も場所を変えてずっと開催を続けています。

5 モットーにしているのは、幸せをつなぐこと もめない相続を実現すること

思った以上に相続について悩んでいる方、相続について何もしていない、何も知らない方は多いです。「相続勉強会」を通じて知り合った多くの方から相談を受け、多くのトラブルに向き合ってきました。
そして、家族に寄り添い、相続の知識や不動産の知識、実務をもって対応することで、不動産業を行いながら、これまでに接することのなかったような多くの家族の悩みを解決できることも知りました。
これこそが自分のしたいこと、しなければならないことだと思い、いまの会社では、この相続分野を強みとした不動産コンサルティングに特化して行っています。
モットーにしているのは、相続のトラブルがなくなるように、お客様の不動産資産を活かし、次の世代へと「幸せを絆(つな)ぐ」ことです。

いま全国に展開している「不動産相続の相談窓口」も、このような思いをもった各地の住宅・不動産会社が運営しています。
この活動を通じて、日本から相続のトラブルをなくすことができたらと思っています。

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