資産価値を守るには、地域の需給バランスを見通すことが重要

再建築率と再建築倍率とは

このコラムの読者の皆さんは再建築率、再建築倍率という指標をご存知でしょうか。
国土交通省の発表資料にある定義によると、再建築は「既存の住宅の全部又は一部を除却し、引き続き当該敷地内において住宅を着工すること」であり、再建築率とは「全新設住宅着工戸数に占める再建築に係る新設住宅着工戸の割合」、つまり建て替えによる建築の割合のことです。
この割合が意味することは、新しい住宅を建てる際に今住宅が建っている場所(土地)を再び使うか、今は住宅用地に使っていない土地を使うか、ということです。
再建築率が低いということは、それまで住宅を建てるために使っていなかった土地を使って住宅を建てるということです。

次に、再建築倍率という指標ですが、これは「除却戸数(壊した建物の戸数)に対する再建築戸数(その場所で新しく建てた建物の戸数)の割合」のことで、例えば一戸建て(1戸)を壊して再び一戸建て(1戸)にするのなら1倍、一戸建て(1戸)を壊して再びアパート(例えば4世帯分)にするのなら4倍ということになります。

再建築率と再建築倍率の現状

最新(平成27年度)の再建築率は調査以降過去最低の8.4%でした。
ちなみに平成26年度は9.1%とこの時点ですでに10%を切っています。
つまり日本で建てられる新築住宅の10戸に9戸はそれまで住宅が建っていなかった場所で建てられているのです。
再建築倍率の値は、全体の除却戸数(壊された建物の戸数)が55,361戸に対して再建築戸数77,702戸となり1.40倍となっています。
この値は壊される建物の種別(持ち家か貸家か等)別や地域別にも変わってきます。
どちらの指標も空き地や空き家の発生が問題視され始めている中で、さらに住宅用に使われる土地を増やし続けられ、あるいは住宅数の拡大再生産が続いていることになります。
この状況にはどこか違和感を感じます。

もう少し詳細に「住宅戸数の増え方」の中身を見てみましょう。
例えば、持ち家は38,755戸が除却され(壊され)、そこに56,855戸分の建物が再建築されていますが、内訳は再び持ち家として建築される戸数が33,320戸分、貸家用の建物に再建築される戸数が21,314戸分となっています。
単純な前後比較でいうと再び持ち家として建設されなかった約5,400戸分の持ち家が4倍の21,000戸分の部屋に変わったということです。
もちろん単身あるいは少人数世帯向けの住宅に変わることでその場所に住む人々にとって住む場所の選択肢が増える場合もあるとは思いますが、戸数を増やす必要がある場所であるかどうかの判断は地域によって分かれます。  

では地域別ではどうなっているのでしょうか。
大くくりですが平成27年度は、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)は11.6%、中部圏(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)は 9.0%。
近畿圏(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)は6.1%、その他の地域は 6.4%と人口減少の程度が大きい三大都市圏以外の地域で再建築率が最も低い、つまりそれまで家があった場所以外で新築を建てているという傾向にあるのです。

資産価値を地域の一部として大きな視点から見る

土地も市場で取引される以上、その価格は需要と供給のバランス変化よって変動します。
例えば家賃の値付けは新しい建物が周囲に多く登場すれば上げにくくなるし、借り手が少なくなれば上げにくくなります。
言い換えれば入居者獲得競争が激しくなるということです。
単純に数合わせだけで価値が決まるわけではないですが、少なくとも周囲に(競合相手となる)建物があるかないかは値付けの要素として大きなものです。

敷地に価値なし、エリアに価値あり

「敷地に価値なし、エリアに価値あり」。
この言葉は私の先生がよく使う表現ですが、個別の建物や個別の住宅がいくら良いものでも、その周囲の中でどのような位置付けにあるか、あるいは地域そのものが、例えば人気があるか、人が集まるか、楽しげな場所であるかといった具合にどのような評価を受ける場所であるかによって上がりもすれば下がりもします。

資産を持つ個人が単独で地域全体の価値をコントロールすることは決して簡単ではありません。
しかし、地域の大事な資産である土地や建物を所有する不動産オーナーとして「地域の価値」にも目を向けることは、結果的に自分の資産価値を守ることにつながるのだ、そんな考え方を持つことが重要な時代になると思います。

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