世帯主年齢階級別の家計資産額とその内訳
出所:平成26年全国消費実態調査(総務省統計局)
相続について学び、多くの人と関わるにつれ、相続の相談には、"地元をよく知り、相続知識のある不動産のプロ"が関わるべきだという思いが強くなりました。
それには大きく三つの理由があります。
ひとつは、相続の対象となる資産の7割は不動産資産であるということです。
日本人の家計資産の内訳を見ると、金融資産が2割に満たないのに対して、住宅・不動産資産はおよそ7割。
日本の資産家の多くは不動産資産家なのです。
資産を引き継ぐ相続となると、自宅や貸地、賃貸マンション、農地など不動産資産をどうするか、という問題は避けては通れないのです。
ふたつ目は、不動産の扱いには専門的な知識が不可欠であるということです。
不動産は現金と違い、分けにくく、わかりにくいという特徴があります。
現金であれば適当な配分に応じて金額を合わせれば分けるのは簡単ですが、例えば田舎の自宅をばらばらに住む兄弟3人で分けるとしたらどうすればよいでしょうか。物理的に3等分できるでしょうか?金額で持ち分を分けますか?また、移動できないので、比較的近くに住んでいる長男はいいかもしれませんが、海外赴任している次男はもらってもどうしようもない、ということもあるかもしれません。
評価も難しいです。
その不動産がいまどれくらいの価値があるのか。相続をするとしたらどのように評価されるのか。
例えば土地としての評価は高いが、家を建てるのは不向き・・・など、不動産の価値はその相続上の評価と一致しないこともよくあります。
不動産をきちんと評価して、どうすべきかのアドバイスをするには、不動産の専門的な知識が不可欠なのです。
そして三つ目は、他の相談先は不動産の扱いに強いわけではないということです。
例えば、税理士は相続税の納税業務の知識を持っています。遺産分割協議や紛争となったときには、弁護士や司法書士など法曹関係者が力になってくれます。
銀行などの金融機関は金融資産の管理を業務としてやっています。
しかし、どの専門家も、実は主たる業務としているのは相続発生後のことです。
相続で大事な事前の準備、とりわけ不動産の扱いについて詳しく、アドバイスできる人はなかなかいないのです。
私は、不動産会社が相続の相談に乗るということの認知をまずは広げなければいけないと思い、自社で付き合いのあったオーナーさんを集めて「相続勉強会」の開催を始めました。
この「相続勉強会」は今も場所を変えてずっと開催を続けています。